長らく、お待たせしました!!
読切の続きです♪
オリキャラ・パロ注意!
なんとか完成しました~。
しかしながら長編と言える長さではなかったので、短編カテに変更しました。
旧vol.2は改正して旧vol.1へつなげましたので、ご注意ください。
[0回]
「ごめんなさい、ネジ兄さん。ハナビがあんなに素っ気なくて……」
「いいえ、それ程でも。手紙にあった通り、お元気でいらっしゃるのであれば、オレはそれで十分です」
「――そうですか。良かった…」
真昼、城内の庭へ出た二人は、仲良く話をしながら歩いていた。しかし、あまりにも久し振りに面と向かって話すのか、ありきたりな話しかできずにいた。
けれども、ネジはそれ以前の問題を抱えているのも理由だった。
そこで、ネジは思い切って聞いてみる決意をした。
「……ヒナタ様」
「はい?」
「あの…」
「?」
ヒナタはきょとんとした顔付きで、言葉を濁すネジを見上げた。
ネジはヒナタの視線を感じながらも、きつく引き結ばれた口をなんとか開いて言葉を紡いだ。
「――アナタは、…本当に、……恨んで…いないのですか? このオレを……」
「えっ?」
「…オレがアナタに、毒の入った菓子を送って、…アナタを、――殺そうとしたことを」
「………」
暗い面持ちで軽く俯いて立ち止まるネジに、ヒナタは胸元に両の拳を寄せ、不安げに彼を見つめていた。
これこそが、ネジが今まで抱えていた問題なのだ。
四年程前、まだ二人の仲が険悪だった頃のこと。
ヒナタからほぼ一方的に来る手紙を、毎回母に任せ、自分はほんの時折にしか返事を書かなかったネジは、ヒナタの十二歳の誕生日を機に、母親が書いた手紙と共に小さな袋に入れた菓子も彼女の下へ送ったのだった。――猛毒の入ったクッキーを。
当時のヒナタは、一かじり食べただけで倒れたため命拾いしたのだが、これを危うく思ったヒアシは、ネジには特別処罰を与えないことと今まで真実を隠してきたことの謝罪文を、ネジの父・ヒザシの遺書を添えて送り届けたのだった。
この過程があったからこそ、今の二人の関係を取り戻すことができたのだが、当のネジは自分がヒナタに虐げてきた悪行を今でも後悔しているのだ。
今更謝罪しようとしても、今となっては時が経ち過ぎている。しかし、本人の口で肯か否か聞いてみなければどうすればいいのか分からないだろう、という二つの思いが入り乱れに乱れて現在に至るのだった。
「――私は、…ちっとも、恨んでなんかいないよ。ネジ兄さんのこと……」
ネジの心の内を聞いたヒナタは、目を閉じてそっと微笑みながら、すぐそばにある鳥籠のデザインをした小さな東屋へ歩を進めた。
もちろんネジは目を見張り、ゆっくりと歩いていくヒナタを驚くままに目で追いかける。
「そんな事はもう、昔のことです。……ネジ兄さん。…私は、たとえ私の命を奪おうとした人でも、…ネジ兄さんはネジ兄さん、私の、――心から大切に思う人ですから」
「ヒナタ様…?」
東屋に入ったヒナタは、ゆっくりとネジの方へと振り向き、昔から変わらない優しげな笑顔で微笑んだ。
「それに……、私、…今ではネジ兄さんが、――大好きだから」
「――ヒナタ様…!」
ヒナタの言葉に感極まったネジは、マントを閃かせながら東屋へ駆け入った。そしてヒナタを前にして、そっと手を取り恭しく跪いた。
「ヒナタ様、アナタがオレのことをそう思って下さっているのならば、…今一度、誓いを立てさせて下さい…!」
突然のことに目をぱちくりとさせるヒナタをよそに、ネジは目をつぶり口を開く。
「――今、この日向ネジの名において、…第一王女ヒナタ姫を、命に懸けお守りし、お傍に仕えることを……」
ここまで言った時点でヒナタの目に陰りが差してしまった。
分家の務め、そういうもので彼と傍にいるということに、心苦しさを今も昔も感じていたのだ。しかし、その気持ちは続きの言葉で消し去られた。
「――心より、愛することをここに誓おう…」
「!!」
「……お許し頂けますか、ヒナタ様…」
驚くままのヒナタを見上げ、そっと微笑みを向け問いかけた。その顔は、間違いなく、ヒナタが幼い頃目にしてきた、――仲が良かった頃の彼そのもの。
ヒナタは涙が溢れるのも構わず、笑みを返す。
「……はい…。…喜んで…!」
ありがとう…ございます…、ヒナタ様…。そう心で呟きながら再び目を閉じ、泣き笑いするヒナタの震える手の甲に、優しく唇を落とした。
To Be Continued…
どうでしたか?
感想、どしどし受付中~♪
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